熱中症について

2012年7月17日号
土浦市医師会 関谷芳明(土浦協同病院)

 今年も「夏」到来ですが、この季節、全国的に問題となるのが「熱中症」です。熱中症とは暑さが原因で体内の水分や塩分のバランスが崩れ、時には死に至ることもある病態です。平成22年には全国で1,731名(茨城県44名)の方が熱中症で死亡しました。しかし、早期の段階で発見し応急処置を行うことで重症化を防ぐことができ、また予防法を知ることにより発症を防ぐことも可能です。
 まず、どんなときに熱中症を疑うかですが、「暑い日に体温が上がり、皮膚が熱く、頭痛・めまい・吐気を認め、意識障害を生じている」などといった症状は熱中症を強く疑います。室内にいても発症することがありますのでご注意下さい。
 熱中症を疑った場合、何はともあれまず体を冷やすことが重要です。涼しい場所へ移動し、体を冷やします。もし水分を摂ることが可能であれば、冷たいスポーツドリンクや食塩水などを飲むことも効果的でしょう。自力での水分摂取が不可能な状態では、緊急で医療機関を受診しなくてはなりません。なお、救急車を要請した際でも救急隊の到着前から冷却を開始することは、その後の重症化を防ぐという意味で非常に重要なポイントとなります。
 予防法については、まず帽子や日傘により暑さを避けることが最重要です。また、こまめな水分摂取も非常に重要です。「水分を摂りすぎると汗をかき過ぎてよくない」といった考え方は間違いであり、汗をかくことは体温調整において非常に重要です。汗で失った水分には塩分なども含まれていますので、スポーツドリンクなどで補充するのがよいでしょう。また、暑い日には冷たいビールが飲みたくなりますが、アルコールの摂取は尿の量が増え、逆に脱水状態となってしまいますので、アルコールによる水分摂取という考え方は誤りです。
 お子さんや高齢者ではとくに危険が高いです。これからの季節「これくらいの暑さは大丈夫」と我慢せず、正しい知識と予防法で楽しい夏を迎えましょう。