食中毒について

2014年7月15日号
土浦市医師会 叶多篤史(叶多内科医院)

 食中毒とは、食中毒の原因となる細菌やウイルスが付着した食品や有毒・有害な物質が含まれた食品を食べることによって起こる健康被害のことをいいます。多くの場合、頭痛、発熱のほか嘔吐、腹痛、下痢などの胃腸炎症状を起こします。食中毒は体力のない(抵抗力が弱い)乳幼児や高齢者において重症化する傾向があり注意が必要です。
 食中毒の原因には、細菌やウイルスなどによるもの、毒キノコや魚のふぐが持つ毒などによるもの、化学物質によるものなどがありますが、一番多いのは細菌やウイルスによるものです。多くの食中毒は、細菌、ウイルス、毒が体の中に入ってから1日から2日後に起こりますが、短い場合は食後30分、長い場合は食後1週間以上たってから起こることもあります。
 梅雨から夏場にかけては細菌が原因となる食中毒が多く発生します。主な原因菌は、カンピロバクター、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ、腸管出血性大腸菌、黄色ブドウ球菌、セレウス菌です。この中では、カンピロバクターが発生件数、患者数ともに最も多くなっています。この菌が付着した食肉(主に鶏肉)を生または加熱不十分のまま食べることで食中毒を発症します。 食中毒予防で重要なことは、「つけない」、「増やさない」、「やっつける」の3原則です。しっかり手を洗い、調理器具は、洗浄・消毒し、乾燥させて保管しましょう。食品に応じて調理器具を使い分けましょう。食品は冷蔵庫では10℃以下、冷凍庫では-15℃以下に保存します。調理済みの食品はできるだけ早く食べましょう。大部分の微生物は熱に弱いので、食品の中心まで十分に加熱しましょう。目安は中心温度75℃以上1分間以上です。

 最後に、嘔吐や下痢の症状は、原因物質を排除しようとする体の防御反応です。医師の診断を受けずに、市販の下痢止めなどの薬をむやみに服用にないようにし、早めに医師の診断を受けましょう。