循環器疾患-狭心症・心筋梗塞

2004年1月19日号
土浦市医師会 松本和美(松本内科医院)

 循環器疾患は多くの疾患群を含んでいますが、心臓病に限定して狭心症と心筋梗塞に代表される虚血性心疾患について述べたいと思います。まず狭心症ですが、狭心症の主な症状は「胸の痛み」、「胸の圧迫感」で、その痛みには特徴があります。多くの場合、胸の真ん中で奥から締め付けられ、圧迫されるような痛みで、息苦しい感じを伴います。しかも殆どの場合、運動や肉体労働などの際に症状が起こるのが特徴で、原因となっている運動等を止めれば症状はおさまり胸痛は一過性です。狭心症と診断されれば予防薬を服用することになりますし、発作に対してはニトログリセリン錠を常時携帯して舌下投与で用います。
 一方、狭心症が重症化し進展した病態である心筋梗塞は、心筋の血流が途絶えて心筋が一部死んでしまった状態(壊死)で重症疾患であり、殆どの場合、緊急入院になります。心筋梗塞は発症24時間以内に10~20%の方が死亡するとされ、心臓病の死亡率を高めている一因でもあります。狭心症および心筋梗塞の原因は、心臓を養っている冠状動脈が動脈硬化賞によって狭くなって起こりますので40歳代以前には起こることは極めて稀です。若い人で自覚する胸痛の多くは、運動や冷えなどによって起こる、肋骨の下を走る肋間神経の痛みや筋肉痛のことが多く、神経質なタイプの人が訴えることが多いようです。
 狭心症・心筋梗塞は生活習慣病とされているように、予防には正しい日常生活習慣を身につけることが肝要です。すなわち動脈硬化の危険因子である、高血圧、高脂血症、喫煙、糖尿病、肥満、ストレス等をコントロールすることですが、要は食事と運動と休養をいかに適切に日常習慣の中で調整するかに集約されます。食事ではコレステロール食品、糖分の取り過ぎ、および肥満に注意し、禁煙を励行し、歩行を中心にして運動不足の解消に努めることが大切です。
 一方、明らかな疾患を指摘された場合は生活習慣を是正することはもとより、指示された治療薬の服用を守る必要があります。そして内科治療に限界がある場合には、冠動脈拡張術(バルーンやステントによる拡張)やバイパス手術を受けることになりますが、最終的には専門的入院検査によって適応と手技が決定されます。