性感染症

2004年8月17日号
土浦市医師会 石川和明(石川クリニック)

 性感染症は、クラミジア、りん菌、トリコモナス、HIV(エイズウイルス)、性器ヘルペス、尖圭コンジローム、梅毒など多種におよびます。
 主に性行為により感染する病気です。感染しても無症状のことも多いため、知らないうちに男性から女性へ、また女性から男性へと拡がります。しかし、通常の生活で他人に感染することはほとんどありません。
 性感染症は近年増え続けていますが、その大きな理由として、避妊や性感染症に関する正確な知識を持たないために、いわゆる普通の男女に急速に拡がっていることが挙げられます。事実、感染者は10代や20代の若者が圧倒的に多く、高校生からその感染率が急上昇します。実は、彼らのほとんどが自分のパートナー、つまり彼氏とか彼女から感染しています。強調しますが、これは日本中どこでも状況は同じです。また、日本は先進国の中で唯一HIV感染が増加し続けている国であることも事実で、その原因の多くはまた、異性間によるものなのです。もはや性感染症は、決して特別な病気ではありません。
 現在、性感染症の多くは、薬で治したり症状を抑えることが可能になっていますが、当然のごとくパートナーの方も同時に治療が必須です。ご相談がありましたら、泌尿器科または産婦人科までどうぞ。
 性感染症の予防には、男性用または女性用のコンドームの装着が最も効果的です。クラミジア感染症に関しては、コンドームを正しく使用することにより、75%の感染率を2.9%まで下げることが可能です。
 インターネットや携帯電話などからの性の情報が氾濫する現在、ご家庭でも親が「性」の正しい知識を身につけたうえで、子供たちに対して性をタブー視したり避けるのではなく、日頃より話し合う機会を持ち、正しい避妊や性感染症の知識を教えていただくことがとても大切です。この夏休みを利用して、ちょっとしたことでもいいですから、お子さんと「性」について話してみてはいかがでしょうか。もはや「小中学生に性の話なんて」は、あまりに時代遅れです。