性感染症

2005年9月15日号
土浦市医師会 萩原明(萩原同仁クリニック)

 性行為を介して感染する病気を総称して、性感染症と呼びます。 残念なことに、近年この種の感染症は急増しています。
 その原因として、若い人の間で性行為が開放的になったこと、病気に対する認識が薄く、さらには症状そのものが明確でない病気が多いことが関係しています。その性感染症の代表的なものについて、少しお話したいと思います。
 淋病りんびょうは、インフルエンザに次いで多い伝染病と言われ,淋菌という細菌が男性の尿道や子宮頚管の粘膜に生着します。症状は、男性では尿道から膿うみが出ますが、女性の症状は軽いため感染に気づく前に性行為でパートナーに感染させてしまうことが多いのです。しかし、外気に弱い菌のため、感染者のタオルや入浴では感染しません。
 さらに、症状が出にくい病気にクラミジア感染症があります。クラミジアはウィルスに似た原虫で、肉眼では確認できるものではありません。淋菌同様に、尿道、頚管の感染源が問題となりますが、男女ともに不感症の原因となったり、出産時に新生児の結膜炎や肺炎などの感染症を引き起こすことがあります。
 その他、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ(性器のいぼ)や梅毒も決して少なくなった性感染症ではありません。そして、AIDS(エイズ)はあまりにも有名な病気ですが、いまだに完治するのが非常に困難な病気です。
 これらの感染症は決して特殊な病気ではなく、誰でも感染する可能性がある病気です。
ここで、大切なことは正確な知識を持つことと、もしも感染していることが分かったら、早急にパートナーと一緒に検査と治療を受け、感染の拡大を防ぐことが重要です。