脳梗塞について

2006年1月17日号
土浦市医師会 加藤雅史(土浦中央クリニック)

 「脳梗塞」と言う病気は、お聞きになったことがあると思います。脳梗塞は現在、日本人における病気死亡原因の第3位です。また、症状の無いものも含めると風邪、生活習慣病に続く病気では?と思われるほど多いのです。
 脳梗塞は、脳の血管がつまって血流が途絶えるために脳の神経細胞が死んでしまう病気です。
 脳の神経細胞が死ぬと、人間はどんな症状が起こるのでしょうか?・・・実は、脳のどの部分の細胞が死ぬかにより症状は異なるのです。
 全く症状が無いものから、右半身、左半身の麻痺、顔面の麻痺、言葉の障害、飲み込みの障害、眼球の運動や視野の障害、認識力の低下、意識の障害、呼吸の障害などが、単独あるいは組み合わせで起こります。これらの症状を聞きますと、脳梗塞にはなりたくないとお思いになるでしょう。
 そこで、脳梗塞にならないためには・・病気には必ず原因があるように、脳梗塞になるにも原因があるのです。これらの原因をきちんと解決することが重要です。・・具体的には、脳の細かい血管を詰まらせる病気や動脈硬化など血管を傷める病気を徹底的に治療すことです。
 そのような病気とは、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症あるいは血液のかたまりを心臓から脳の血管にとばす不整脈(心房細動)です。
 また、最近になって「メタボリック症候群」も脳梗塞の原因になることが分かってきました。
 この症候群は、分かりやすく言えばお腹が出ている、血圧が少し高い、食後の血糖が少し高い、中性脂肪値が少し高い、というように腹部の肥満と3つの少しが集まった病気なのです。この症候群は、中年の方に多いので、ぜひご記憶ください。
 簡単な予防法は、「体重を減らすこと」です。
 それでは最後に結論を・・「脳梗塞にならないためには、原因となる病気を早めに発見しきちんと治療することが大切です」(余談ですが)、きちんと治療すれば脳梗塞だけでなく、実は心臓、腎臓の血管障害も予防できるのです。