うつ病とはどんな病気?

2007年4月17日号
土浦市医師会 塚原達也(土浦厚生病院)

 うつ病になる原因としては、脳内の神経伝達物質の代謝異常が推測されています。誘引としては、さまざまな精神的ストレス、例えば、体の病気、失業転職、離婚、昇進(過労)、転居、退職、出産、近親者の死などの環境変化や喪失体験にまつわるストレスが引き金になることが多いようです。何かとストレスの多いこの現代社会においては、一生涯の間に治療の必要なうつ状態になる人の割合は6~7人に1人にも及びます。もはや、特別な病気ではありません。

 うつ病では、心と体に症状が出ます。ゆううつ、もの悲しい、イライラ、不安焦燥感、死にたくなるなどの気分低下や、やる気が出ない、考えがまとまらない、テレビや新聞を見ても頭に入らないなど、意欲や思考の低下がみられます。睡眠障害(寝つけない、朝早くに目が覚める)、食欲不振もかなりの率で出現します。そのほか、全身倦怠感、頭重感、肩こり、吐き気、めまい、手足のしびれ、動悸など自律神経に関係する身体症状が加わることも多いようです。タイプによっては、気分の落ち込みがはっきりせず、体の症状ばかりが前面に出てくることがあります。この場合、本人はうつ病と気づかず、ほかの科を受診し、なかなか改善に至らないことも少なくありません。これらの症状が長引く場合には、うつ病の可能性を疑ってみることも必要です。

 うつ病の治療は、薬物療法と精神療法が中心です。病気の程度によっては休養をとることも必要です。現在ではSSRIやSNRIといった副作用が少ない抗うつ薬用いて治療するのが主流です。軽症の場合であれば、仕事を続けながら治療を受けることも可能です。再発を何度も繰り返すケースでは、考え方にうつを呼び込む悪い癖がついていることがあり、その場合は精神療法の併用が有効となります。通常のケースであれば、3~6ヶ月で服薬は不要となります。うつ病は言ってみれば、誰もがかかり得る「心の風邪」みたいなもので、きちんと治療すれば治る病気です。早めに気軽に相談しましょう。