頭痛について

2008年5月15日号
土浦市医師会 塚田篤郎(県南病院)

 頭痛は我々脳神経外科を受診される患者さんの主訴の中で最も多い症状です。国際頭痛分類によれば頭痛は一次性頭痛(機能性頭痛など)と二次性頭痛(症候性頭痛など)に大別されます。実際に頻度が多いのは前者で、怖いのは後者です。

 それぞれについて説明します。まず、怖い方の症候性頭痛とは、何らかの病気が脳、脳血管、脊髄などにあるため、頭痛が起こるもので、代表的なものには脳動脈瘤破裂によるクモ膜下出血、脳出血のような脳血管障害や、頭部外傷、脳腫瘍、頸椎疾患などがあります。特にクモ膜下出血の場合は何の前触れもなく、今まで経験したことのないバットで殴られたような激頭痛が突然発症して、嘔気嘔吐を伴うことが多く、重症の場合、意識障害を伴います。また脳出血の場合も同様の急激な頭痛、嘔吐などにて発症しますが、片麻痺などの運動麻痺を伴うことが多いのが特徴です。これらが疑われる場合は、まず安静にして、救急車を呼ぶのがよいでしょう。一般的に脳梗塞は運動麻痺や脳の局所症状にて発症しますが、頭痛は伴いません。一方、脳腫瘍による頭痛は徐々に進行する慢性頭痛で、意識障害や腫瘍の局在部位による脳症状を合併するのが特徴です。頭部外傷による頭痛は外傷後なのでわかりやすいですが、軽微な外傷後1~2か月後に発症する慢性硬膜下血腫という病気があり、進行する慢性頭痛、認知症様症状、歩行障害などで発症し、特にお年寄り、アルコール多飲者に多いので注意を要します。いずれにせよこれら症候性頭痛は原因疾患に対する治療が必要で、放置すれば命取りになることもあります。

 一方、機能的頭痛の代表的なものには頭部を支える筋肉の緊張からくる緊張型頭痛と、脳血管の異常拡張からくる片頭痛があります。特に片頭痛は前述の脳血管障害と鑑別が困難なほど強い頭痛や嘔吐を伴うものもあり、診断、治療のため、脳外科や神経内科などの専門医を受診することをお勧めします。