中耳炎について

2008年7月16日号
土浦市医師会 吉江晴英(吉江耳鼻咽喉科医院)

 耳の病気で「中耳炎」は聞いたことがあっても、中耳をイメージできない方が多いのではないでしょうか。

 耳は大きく分けて、外側から順番に、外耳、中耳、内耳と区分されています。耳たぶから耳の穴の入口に入り、外耳道というトンネルを通り鼓膜までの間が外耳です。鼓膜とつながって内耳へ音を伝えていく小さな骨(耳小骨)の入っている部屋が中耳で、耳管という管を経由して鼻の奥の方と交通しています。中耳の内側にある頭の骨の中に内耳と言われる場所があり、音を神経へ伝えるための信号に変換する工場の蝸牛があります。

 中耳炎はさまざまな原因により、中耳の部屋の中に炎症が起きている状態です。鼻やのどの細菌感染だけでなく、気圧の急激な変化、鼻すすりなど耳管が関係している場合やアレルギー性の反応などでも起こります。炎症で、中耳内に浸出液が長時間貯留したままになってしまう場合もあります。

 慢性化すると、鼓膜に永久穿孔を残したり、中耳内側へ癒着します。鼓膜の一部が内側へ侵入し、真珠腫という厄介な炎症の塊りを形成することもあります。中耳炎の症状も、耳が痛い、耳だれ、聞こえが悪い、耳鳴り、耳がつまった感じや、発熱、頭痛、めまい、顔が曲がるなど多様で、程度もさまざまです。

 中耳炎は早期に発見し、正確に症状を診断することが大切です。そして診断確定後は、適切な治療や指導された生活上の注意点を継続することが、病状を改善させるために更に重要です。

 急性中耳炎では抗生剤に耐性のある細菌が原因になる割合が増えていて、自己判断で治療を中途半端にすると重症化する危険性も高くなります。中耳炎の種類や程度によって、治癒するのにかなり時間がかかることもありますし、手術も必要になることがあります。

 中耳炎も含めて、少しでも耳がおかしいと思ったら、まず耳鼻咽喉科で受診してみましょう。