突発性難聴

2008年11月18日号
土浦市医師会 伊東善哉(伊東クリニック)

 突発性難聴とは、ある日突然耳の聞こえが悪くなる病気です。中耳炎などではなく、内耳つまり耳の神経の機能が急激に低下することによって起こるもので、内耳の血液循環障害やウィルス感染などが想定されていますが、いまだ原因が特定されていません。

 症状は難聴のほか、人によっては耳がつまった感じや耳鳴りを第一に訴える場合もあります。診断は、まず鼓膜や中耳に異常がないことを確認し、防音室内できちんとした聴力検査をすることでほぼつけることができます。「ほぼ」と書いたのは、当初突発性難聴とされたものの中に少数ではありますが、聴神経腫瘍という一種の脳腫瘍が含まれていることがあること、低音障害型の場合は突発性難聴と言うより、むしろメニエール病と共通した内リンパ水腫という病態が潜んでおり、メニエール病に準じた治療に反応する症例が存在することなどのためです。

 治療ですが、発症後できるだけ早く治療を開始することが大切です。遅くとも発症後2週間以内には治療を開始すべきで、しかもできるだけ早い方がよいのです。発症後1か月以上たってしまうと、治る可能性はほとんどなくなってしまいます。特に難聴の程度が高度だったり、めまいを伴ったりする場合は治療に反応しにくいので、できれば入院してしっかりと治療することが望まれます。糖尿病の方も要注意で、ステロイドを使う場合にはきちんとした血糖の管理が必要なので、入院加療が必要です。

 最後に述べておかなければならないのは、適切な治療をしてもすべての方が完治するわけではないということです。残念ながら全く聴力が改善しなかったり、不完全治療に終わってしまったりするケースも少なくありません。それでも、治療開始が遅れたり治療をしなかったりして聴力改善の可能性を放棄してしまうよりは、できるだけ前向きに耳鼻咽喉科専門医の診察を受けられ、聴力改善を目指すことをお勧めします。

  

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