痛風について

2009年5月15日号
土浦市医師会 岡田基(岡田整形外科クリニック)

 痛風とは尿酸の結晶が関節内に貯まり炎症を起こす病気で、痛風患者はほとんどが男性です。痛風と聞いて思い浮かべるのは、足の親指の付け根が急に腫れて「風に吹かれても痛い」という典型的な痛風発作でしょう。しかし足関節・アキレス腱付近・膝などの間接にみられることもあります。

 痛風は男性の1%程度ですが、男性の20~25%が高尿酸血症つまり痛風を起こす予備軍と言えます。ただ怖いのは、痛風を起こさなくても腎障害やメタボリックシンドロームの合併が進んでいる場合が多いということです。痛風の人は尿管結石の発生率が約1000倍も高くなるとの報告もあります。健康診断などで尿酸値が高いと指摘された場合は、合併症も含め注意が必要です。

 では尿酸値はどうして高くなるのでしょう?遺伝的に尿中への尿酸の排出が低下している方が多く、食事・飲酒・運動・肥満・ストレスなどの因子が加わって高尿酸血症となります。近年の食生活・生活習慣の影響で高尿酸血症は増加しています。

 食事はどうしたらいいのでしょう?暴飲暴食を避け、尿酸の元となるプリン体をあまり接取しないことです。プリン体を多く含むのは動物の内臓・魚の干物・乾物などです。またアルコールは尿酸を増加させる作用があります。とくにビールはそれ自体にプリン体を多く含むため尿酸を増加させやすいのです。そういえば最近プリン体をカットしたビールも宣伝されているようですね。痛風は痛いだけの関節炎ではなく、メタボリックシンドロームとのかかわりなど全身的な問題として、症状のない時(高尿酸血症)から注意が必要な病気なのです。