片頭痛について

2017年7月18日号
土浦市医師会 樋口修(県南病院)

 頭痛は一般的な症状で、日本人の4人に1人は頭痛持ちと言われています。頭痛の中で命に係わる様な危険な疾患の症状では無いものの、症状が強く日常生活に支障を来たしてしまう頭痛が片頭痛です。その有病率は全人口の5~10%と言われています。

 片頭痛の症状は、初めに前兆という脳の局所症状を来す場合があります。前兆には突然視野の一部がチカチカ光ったり暗くなる閃輝暗点や片方の手足がしびれたり麻痺する症状があります。前兆の症状は可逆的で1時間以内には消失します。前兆に引き続き頭痛が起こりますが、頭痛は片頭痛の名前の通り多くは片側に生じ、中等度から重度の頭痛で、脈打つような、ズキンズキンとする、などと表現されます。激しい嘔気、嘔吐を伴うことや、音や光に対して異常に過敏になる事もあります。症状は4~72時間続いた後消失し、後遺症は残しません。

 片頭痛の原因は不明ですが、頭痛の誘因としては、光や音の刺激、精神的なストレス、食物(チョコレート、乳製品、柑橘類など)、アルコール、睡眠不足や寝過ぎ、女性の場合は月経などが指摘されています。

 頭痛に対する治療は一般的な鎮痛剤では効果が無く、片頭痛専門の治療薬(トリプタン)で効果が期待できます。前兆を感じた際にこの治療薬を服用すると、頭痛の発症を抑えることも可能です。むやみに一般の鎮痛剤を服用すると、その薬が頭痛の原因になってしまう薬物乱用頭痛という頭痛もあるので注意が必要です。
 日本頭痛学会では適切な頭痛の診断と治療のために、症状の経過、頭痛前後の生活状態を記入する頭痛日記を勧めています。

 最後に、一つ重要なことがあります。片頭痛に類似した頭痛の中に、くも膜下出血、脳動脈解離、髄膜炎、脳腫瘍など命に係わる危険な疾患がかくれていることがあります。初めての頭痛や、いつもの頭痛と症状や経過が異なる場合には放置せず速やかに脳神経外科を受診し、精密検査を受けることが大切です。