乳がん検診について

2017年8月17日号
土浦市医師会 石井康裕(ウララ胃腸科外科)

 近年、日本人女性に乳がんが急増しています。平成28年の罹患者数が約9万人、日本人女性の11人に1人が一生のうちに罹かかる確率で、20年前と比べて2倍に増えています。一方で治療法の研究が進み、早期に見つけて適切な治療を行えば、10年生存率は80%といわれ、良好な経過が期待できます。そのためには、乳がん検診を受けることが大事です。
 土浦市では30歳以上の女性を対象に、一般的に行われる問診、視触診、マンモグラフィー、超音波検査などの乳がん検診を行っています(医療機関によって受けられる検査内容が異なります)。
 ちなみにここ3年間の土浦市の乳がん検診受診率は次表のとおりです。

      平成25年    平成26年    平成27年
40歳以上   11.3%     10.7%     10.2%
20~39歳   11.5%     11.0%     10.5%

 平成25年度の全国の乳がん検診受診率の平均は34.2%に対し、土浦市の乳がん検診の受診率は10~11%台と非常に低い状況です。
 乳がん罹患の主なリスクとして、初潮年齢が低い・閉経年齢が高い、妊娠出産歴・授乳経験がない・初産年齢が遅い、飲酒・喫煙、高脂肪食、肥満・運動不足(特に閉経後)、ホルモン治療(エストロジェン製剤・ピルなど)などが挙げられています。
 有名人や芸能人の乳がん報道がされると一時的に乳がん検診、検査数が増えます。しかし大体3か月後には元に戻ってしまうといわれています。女性たちの潜在意識には、がんや様々な病気に対する不安があるにも関わらず、何か大きなきっかけがないと受診・検診という行動に移すことができずにいるということが推測されます。
 1年に一度は自分にために乳がん検診を受けてください。