胃がんリスク検査について

2017年10月17日号
土浦市医師会 石井康裕(ウララ胃腸科外科)

 平成29年5月1日から、年度内に40・45・50・55・60・65・70歳を迎える方を対象に、胃がんリスク検査が始まりました。
 この検査は、バリウム検査や内視鏡検査のように直接胃がんを見つける検査ではなく、血液検査で胃がんになりやすい人、ほとんどなる可能性がない人を4つに分類し、ハイリスク群を絞り込む検査です。
8月31日までに、受診券発券数767枚、医療機関の受診者数595人を数えています。
 この検査により胃粘膜萎縮の進行度(ペプシノーゲン法)と、ピロリ菌に感染したかどうか(ヘリコバクターピロリ抗体価)を組み合わせて、胃がんリスクを層別化し高リスク群に精密検査受診を勧め、胃がんの予防(ピロリ菌の除菌治療)、早期発見、早期治療をすることが目的です。ピロリ菌感染による胃粘膜の萎縮はゆっくりと進むのでペプシノーゲン値は10年程度ほとんど変化しません。このことから胃がんリスク検査は5~10年程度に一度で十分と言われています。検査結果はA・B・C・Dの4群に分けられ、それぞれの胃がん発生率は、A群はほぼ0%、B群は約0.1%、C群は約0.2%、D群は約1.25%と言われています。胃がんリスク検査を受けた方は必ず受診した医療機関で医師から説明を聞き、その後どのように経過観察していくべきかを理解していただきたいと思います。
 今までバリウム検査がいやだった人でも血液検査で自分が胃がんにかかりやすいかどうかを調べることが出来るようになりました。当年度にあたる人は、ぜひこの検査を受けていただきたいと思います。もちろんバリウム検査との併用も可能ですので希望の方は医療機関へ申し出てください。
 昨年度までの土浦市の胃がん検診受診率は決して高いとはいえません。土浦市医師会も胃がんリスク検査が採用されたことにより少しでも受診率を高めたいと願っている次第です。