帯状疱疹

2018年2月15日号
土浦市医師会 坂本由紀子(久松耳鼻咽喉科皮フ科医院)

「虫に刺された。と思って病院に行ったら、帯状疱疹と言われたの」
「痛いから湿布を貼って、かぶれた。と思っていたら帯状疱疹だった」
周りでこのような話を聞いたことはないでしょうか。
 帯状疱疹は、水ぼうそうのウイルスが原因でおこる病気です。ほとんどの方は子供の頃水ぼうそうにかかりますが、水ぼうそうが治った後も、ウイルスは体内の神経節というところに潜んでいます。そのためストレスや過労、加齢などが引き金となって体の免疫力が低下すると、潜んでいたこのウイルスが再び活動を始め、神経を伝わって皮膚に拡がり、帯状疱疹として発症します。
 このため一度水ぼうそうにかかった方でも、水ぼうそうのワクチンを接種すると帯状疱疹の予防効果があることがわかっています。最近、子供の水ぼうそう予防に使われていたワクチンも、50歳以上の方に帯状疱疹予防で使えることが認められました。ただし、このワクチンの予防接種は健康保険が使用できないため、全額自己負担となります。
 帯状疱疹を発症した場合、治療に抗ウイルス薬が使われます。ただし、これはあくまでも帯状疱疹の原因であるウイルスが増えるのを抑えるお薬で、効果が現れるまでに2~3日かかります。すぐに効果が現れないからといって、自己判断で量を増やしたり、途中で止めたりしないでください。
 皮膚症状は1週間から2週間目をピークに、4週間から8週間くらいかけ良くなっていきます。この時多くの方は皮膚の症状が治っていくのにあわせ痛みも良くなっていきますが、人によってはその後もピリピリするような痛みが続くことがあります。これは帯状疱疹後神経痛といい、急性期の炎症により神経に強い損傷が生じたために起こります。
 帯状疱疹は、精神的にも肉体的にも疲れた時に出やすい病気ですからワクチン接種以外でも、十分な睡眠をとり、無理のない生活を心がけましょう。