子宮頸がんワクチンについて

2012年4月17日号
土浦市医師会 西田正人(霞ヶ浦医療センター)

 子宮頸がん(子宮の入り口にできるがん)が高危険群HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染によって発生することが明らかにされ、このウイルスに対するワクチンが作られました。
 HPVは性交によって感染するウイルスなので、性交経験の無い若年女性に接種することによって、将来の感染を予防することができます。一般に20代女性の80%は、一度はこのウイルスに感染するとも言われており、ウイルスに感染することが即頸がんになることではありません。初期に感染したウイルスはほとんどが自然に消失します。しかし、一部に持続的に感染が続く場合があり、その時に頸がんになる危険性が高まるのです。
 ワクチンに治療効果はないので、既にがんやその前がん状態(異形成)になってしまった場合は無効ですが、そうでなければ、将来の感染を防ぐ効果のあることは成人女性の場合でも同じです。従って、成人女性が接種する場合には、まずがん検診を受けて、がんや異形成でないことを確認してから接種することが大切です。
 昨年から、公費で女子中学生と高校1年生への接種が始まりました。この年齢のお子さんがいらっしゃる方は、必ずお嬢さんへの接種を忘れないでください。
 一方、それ以上の年齢の女性は、公費での接種にはなりませんが、一般の産婦人科診療所で、有料で接種を受けることができます。接種は半年間に3回行われます。3回で5万円前後と高額ですが、健康保険は使えません。45歳以上の女性に接種する意義は余りないとされています。
 ワクチンには2価ワクチンと4価ワクチンがあります。HPVウイルスにはたくさんの種類があり、その中で最も危険性の高いウイルスである16型と18型の2種類を対象としたのが2価ワクチン、この2種類と共に、外陰などにできるコンジローマという病変や腟がん、外陰がんの原因になる6型、11型も対象にしたのが4価ワクチンです。頸がんに対する予防効果はどちらも変わらないとされています。