熱中症について

2006年7月19日号
土浦市医師会 阿久津貴(あくつ整形外科)

 熱中症とは、身体に中や外の「熱さ」によって体温調節機能がこわれてひき起こされる障害の総称で、非常に危険な疾患です。 初期症状は筋肉のけいれん、全身の脱力感、けん怠感、めまい、悪心などですが、放置すると急速にこん睡、多臓器不全へと移行し、 最悪の場合、死へとつながります。熱中症というと、‘暑い環境で起こるもの”というイメージがあるかと思いますが、 実は寒いとされる環境でも発症することがあります。運動や活動によって体内の筋肉から大量の熱が発生するためです。 実際、11月などの冬季でも死亡事故が起きています。
 この怖い熱中症から身体を守るためには、しっかりとした予防知識と発症初期の対処法を身につけることが大事です。 まず予防ですが、第1に充分な水分の補給です。運動前後での体重の変動は、2%以内にしなければいけません。 それ以上減っているようなら補給不足です。可能なら低浸透圧(ハポニック)のスポーツドリンクを水で半分に割り、 冷やしたものをとるとよいと思います。また発熱、下痢、二日酔いなどの症状があるときは、 もともと脱水になっているので運動はやめたほうがよいでしょう。第2に体内の熱の効率的な放出です。 皮膚から熱の出入りには衣服が関係します。熱いときには軽装にし、素材も吸湿性や通気性のよいものにしましょう。 屋外で直射日光がある場合は、帽子を着用しましょう。防具をつけるスポーツでは、休憩中に衣服を緩め、できるだけ熱を逃がしましょう。
 次に熱中症らしき症状がでたときの対処法ですが、軽度でも直ちに運動や活動を中止する、涼しいところで安静にし衣服を緩める、 涼風や濡れタオルなどで寒いと思うまで充分に身体を冷やす、意識がはっきりしているときに限り水分補給をおこなう、これらが大事です。 もし改善が見られないときは、ためらわず医療機関で受診してください。