子宮がん

2008年8月15日号
土浦市医師会 西田正人(霞ヶ浦医療センター)

 子宮がんは、検診効果の最も高いがんと言われています。今回は、子宮がん検診について解説します。

 子宮がんには子宮の入り口の方(子宮頸部)にできる子宮頸がんと子宮の奥の方(子宮体部)にできる子宮体がんがあります。子宮がん検診といった場合には通常、子宮頸がんが対象になります。

 頸がんと体がんはいろいろな面で対照的です。発生年齢は頸がんが若年者(20歳から40歳くらい)に多いのに対し、体がんは40歳以上に多く、がんの種類も、頸がんの9割が扁平上皮がんであるのに対し、体がんは腺がんが大部分です。 ちなみに体の皮膚は扁平上皮という細胞でできており、この細胞ががん化したものが扁平上皮がん。一方、唾液腺や乳腺のように何かを分泌する細胞を腺細胞といいますが、その腺細胞ががん化したのが腺がんです。

 扁平上皮がんと腺がんは性格が少し違っています。扁平上皮がんは進行が比較的ゆっくりで、放射線が良く効きます。一方、腺がんは進行が早く、化学療法が良く効きます。

 昔は日本人の子宮がんは90%が頸がんでした。最近、子宮体がんが増え、ほとんど半々になってきています。40歳以上で月経の異常や不正出血のある方は必ず体がん検診も一緒に受けてください。

 子宮がん検診には集団検診と医療機関検診があります。検診車というバスが来て、決められた日に決められた場所でバスの中で検診を受けるのが集団検診。一方、診療所や病院に行って受けるのが医療機関検診です。集団検診では体がん検診は行っていません。ですから、不正出血などの症状のある方は必ず医療機関検診を受けてください。

 がんは高齢者の病気と考えられがちですが、頸がんは若い方にも発生するので油断はできません。ぜひ、このことを念頭において、若い方も子宮がん検診を受けていただきたいと思います。