”循環器病”という病気

2021年8月17日号
土浦市医師会 金地嘉久(土浦協同病院)

 ”循環器病”という言葉をご存じでしょうか。

 心臓や脳血管、大動脈など、全身の血液の循環に関わる臓器に起きる病気を、総じて”循環器病”と呼びます。2018年の人口動態統計では、死亡原因の第2位が心疾患、第4位が脳血管疾患となっており、両者を合わせると年間31万人以上の方が亡くなっています。また高齢化にともない今後より一層増えることが予測されるため国を挙げて対策が練られています。

 循環器の多くは、運動不足、不適切な食生活、喫煙などの生活習慣や肥満などを原因としており、これらの改善や適切な治療によって予防したり悪化するのを防いだりすることができます。ひとたび循環器病を発症してしまうと、心筋梗塞のように急激に進行し数分から数時間の単位で生命にかかわる重大な事態に陥ったり、また脳卒中のように重度の後遺症が残ってしまったりすることもあるので、何より大切なのは循環器病を発症しないように予防していくということです。不適切な生活習慣(喫煙、塩分・脂質過多、多量飲酒、運動不足)や生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満症など)は、それ自体では症状が出ないことも多く、それによりしばしば放置されることもあります。しかし、循環器病を患った後は何らかの形で心臓や脳の機能が低下してしまいます。近年の医療の著しい進歩により、新しい薬や治療法が出てきていますが、やはり、循環器病は予防することが一番なのです。適度な運動と食生活により適切な体重を維持すること、禁煙、健康診断を受けて正常でなかった項目がある場合は改善を試みること、これによって循環器病の多くが予防することができると考えられます。もちろん年齢とともに循環器病を発症してしまうこともあるので、以前よりも息切れを起こしやすい、動機がする、疲れやすいなどの症状がある場合は専門医を受診してください。元気で充実した生活を送るために、”循環器病”の予防を心がけましょう。