睡眠時無呼吸症候群について

2023年2月15日号
土浦市医師会 安田大輔(やまと医院)

 睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に無呼吸を繰り返すことで、さまざまな合併症を引き起こす病気です。英語で、Sleep Apnea Syndromeと表記されるため、その頭文字をとって、SASとも呼ばれています。この病気の怖いところは、心臓に大きな負担を与え、それが冠動脈疾患や心筋梗塞、脳梗塞などの発症につながり、突然死のリスクを高めるところです。

 有病率は成人男性の約3~7%、女性の約2~5%といわれています。男性では40歳~50歳代が半数以上を占める一方で、女性では閉経後に増加します。

 症状は、いびき、夜間の頻尿、日中の眠気や起床時の頭痛などです。日中の眠気は、作業効率の低下、居眠り運転事故や労働災害の原因にもなります。

 問診でSASが疑われる場合は、携帯型装置による簡易検査や睡眠ポリグラフ検査(PSG)を行います。無呼吸低呼吸指数(AHI)が5以上であり、かつ上記の症状をともなう場合にSASと診断します。重症度は、AHI5~15を軽症、 15~30を中等症、 30以上を重症としています。AHIが20以上で日中に眠気などがあるSASに対しては、持続陽圧呼吸療法(CPAP)という治療をすることが一般的です。CPAPとは、マスクを介して持続的に空気を送ることで、狭くなっている気道を広げる治療法です。また、下あごを前方に移動させる口腔内装置(マウスピース)で治療することもあります。

 肥満者は減量することで無呼吸の程度が軽減することが多く、食生活の改善や運動などを心がけることも重要です。また、アルコールは睡眠の質を悪化させるので控える必要があります。

 SASになると、高血圧、脳卒中、心筋梗塞などを引き起こす危険性が約3~4倍高くなります。AHI30以上の重症例では、心血管系疾患発症の危険性が約5倍にもなります。しかし、CPAPを行うことで、健常の人と同等まで死亡率を低下させることができるといわれています。

 SASは早期発見・治療が重要です。最近では、人間ドックや事業者向けの検診でもSASの検査が行われています。SASが疑われる場合は、速やかに医療機関を受診し、相談をしてみてください。