慢性腎臓病って何?

2024年1月16日号
土浦市医師会 下畑誉(土浦ベリルクリニック)

 慢性腎臓病という言葉を聞いたことがありますか?慢性腎臓病を英訳したChronic Kidney Diseaseの頭文字をとり、CKDと呼ばれることもあります。最近では、コマーシャルでもeGFR(イージーエフアール) という言葉と共に、徐々に耳にする機会が増えてきた のではないでしょうか。その名のとおり、腎臓の病気が長い間続いている状態を表しています。

 腎臓病の主な症状は、尿の異常(尿蛋白や尿潜血)か腎臓の働きの低下であり、どちらも自覚症状がないため、なかなか気づかれにくいという特徴があります。しかし、腎臓病をそのまま放置しておくと最終的には人工透析が必要となったり、心臓病や脳卒中を引き起こしたりするため、自覚症状がないからといって放置しておくことは大変危険です。

 自分が慢性腎臓病かどうか知るためには、尿検査や血液検査を行う必要があります。特定健診や健康診断で蛋白尿陽性(1+以上)を指摘された方は、お近くのクリニックまたは腎臓専門医のいる施設で尿検査の再検査をしてもらってください。再検査でも蛋白尿陽性であれば、腎臓専門医のいる施設を受診してください。

 血液検査では、血清クレアチニン濃度を計測すると計算によって現在の腎機能がeGFRという数値で表されます。正常値は若年者で100ml/minくらいですが、3か月以上にわたって60ml/min未満に低下していれば、慢性腎臓病という診断となります。

 慢性腎臓病に対する薬は、これまでRAS阻害薬という降圧薬が中心でしたが、現在は糖尿病治療薬であるSGLT2阻害薬に腎機能低下を抑制する効果が認められたり、糖尿病由来の慢性腎臓病に対してMR受容体拮抗薬という薬に腎機能低下を抑制する効果が認められたりと、治療選択肢の幅が広がっています。

 まずはご自身が慢性腎臓病かどうか確認し、慢性腎臓病であれば早期の治療を始めましょう。