骨粗鬆症について

2019年8月20日号
土浦市医師会 中嶋伸(松永医院)

 骨粗鬆症という病気は新聞・テレビでもよく耳にしますが、”粗鬆”は聞きなれない言葉ですね。粗鬆とは、おおざっぱであらいことなどを意味します。つまり、骨粗鬆症は骨があらく密度が少なくなり、骨折しやすくなっている状態の病気です。骨折により寝たきりになったり、日常生活に大変不便を来したりします。
 私たちの体中では骨を作ったり壊したりしており、健康な成人は3~5年ですべての骨が入れ替わると言われています。骨を作る(骨形成)速度が落ちたり、壊す(骨吸収)速度が速くなると骨粗鬆症になってしまいます。骨粗鬆症は特に女性に多く、その割合は80%とも言われています。50歳を過ぎると女性ホルモンの分泌量が少なくなります。女性ホルモンは骨吸収をゆるやかにして、骨からカルシウムが溶けだすのを抑える働きがあります。閉経後に骨粗鬆症が増加するのはそのためです。骨粗鬆症は、骨折でもしない限りほぼ症状がありません。転倒し骨折するまで治療されていない方が多くいらっしゃいます。骨粗鬆症は、主に背骨や太ももの骨・手首の骨・かかとの骨などで骨密度を測定し診断します。若年者(20~44歳)と比較した骨密度をYAMといい、YAM値が70~80%で骨量減少、70%未満で骨粗鬆症と診断されます。60歳の平均YAM値が80%、70歳が70%ですので、50歳を過ぎたら骨粗鬆症に注意が必要です。
 骨粗鬆症の予防は、運動で骨に刺激を与える事、ビタミンD・K、カルシウムの摂取です。また、日光浴により体内のビタミンDが作られるため、運動も兼ねて適度な外出が推奨されます。
 骨粗鬆症の治療は骨吸収を抑える薬と骨形成を促進する薬に大別されます。また、内服薬と注射薬があり、毎日投与するものから週1回~年1回とさまざまです。お薬の種類はおのおのの患者様の病態によって選択されますが、一番大切なことは治療を継続することです。骨粗鬆症は予防が可能な病気です。この機会にぜひ骨密度検査をおすすめいたします。