突き指

2011年5月17日号
土浦市医師会 岡田基(岡田整形外科クリニック)

 スポーツ外傷の中で、よくあるケガにもかかわらず誤解が多いものの一つが「突き指」です。ボール遊びなどで誰もが一度は経験したことがあると思います。関節が腫れて動かしにくくなるので、「腫れないように、すぐに指を引っ張れ」という人がいますが、これは大きな間違いです。「突き指」は関節周囲の組織の損傷ですから、無理に引っ張ることでかえって悪化させてしまいます。腫れを防ぐためにもすぐに冷やして安静にすることが大切です。ただ、指の関節は動かさないと固くなりやすい(拘縮といいます)ので、重傷例でもない限り固定の必要はありません。早期から自然に曲げ伸ばしをしたほうが治りは早いのです。
 突き指の中には「マレットフィンガー」という少々厄介なケガもあります。これは一番先端の関節の損傷で、指を少し曲げた状態の変形が残り、自力で伸ばせなくなります。痛みが軽いため様子を見ている方が多いのですが、実は指先の伸筋腱断裂または骨折によるものです。腱断裂の場合は2~3か月固定をしますが元通りには治りにくく、日常生活に支障があるようなら腱を再建する手術が必要なこともあります。骨折の場合は皮膚の上からワイヤーを刺して骨を固定します。局所麻酔の簡単な手術ですし、こちらの方が治りやすいケガです。しばらく様子をみていたが治らないと言って、数週間してから受診する方もいます。そうなると治りも悪くなってしまいます。
 「突き指」に限らず外傷では、まず冷やして安静にすることが大切です。また、ちょっとおかしいかな?と思ったら、放っておくことは避けましょう。