めまい

2011年7月15日号
土浦市医師会 久松建一(久松耳鼻咽喉科医院)

 突然びっくりさせられる症状のひとつにめまいがありますが、これには様々な種類があります。人が立っていられるのは、眼から入る周囲の情報、耳の奥の三半規管と前庭(内耳)のセンサー、筋肉の深部知覚のセンサーからの情報が脳で統合され身体のバランスが保たれているからです。このバランスがくずれた時にめまいが起こります。
 一番多いめまいは良性発作性頭位めまい症と呼ばれるもので、起き上がったり、寝たりする時に突然起こり、数秒でなくなります。メニエール病は内耳に起こる内リンパ水腫によるもので、繰り返す激しいめまい発作と徐々に進行する難聴が特徴です。突然に起こる難聴(突発性難聴)に伴うめまいもあります。これらは内耳のセンサーに問題が起こります。
 不整脈や血圧の変動(起立性低血圧、高血圧、精神的ストレスなど)が原因のめまいもあります。椎骨脳低動脈循環不全、脳出血、脳梗塞などが原因の脳の血流障害によるめまいもあります。首の骨の中を椎骨動脈が突き抜けて走り、さらに脳低動脈となります。首の骨が動脈を圧迫してめまいを起こすこともあります。血液が脳や内耳に充分行かなければ脳や内耳も充分に働き難い状態になります。
 脳腫瘍による場合もあります。CTスキャンやMRI(聴神経腫瘍は造影剤を用いると数ミリの腫瘍も造影されます)で脳や血管の検査をします。首筋のこりもめまいを起こし、逆にめまいの起こっている人は首筋がこりやすい。低血圧や高血圧の人も首筋がこりやすい。これは深部知覚のセンサーの障害と考えれば理解しやすいでしょう。ぐるぐる回る回転性めまいの多くは耳からくるものです。ふらふらするめまいは、耳以外に原因がありそうです。
 治療は、安静、原因に対する薬物療法がありますが、まず原因を見つけてから対策を考えます。一般に激しいめまいにも安定剤が有効です。吐き気には吐き気止め、首筋のこりには後頭神経ブロック(注射)、ビタミンEなどを用います。7%重曹水の静脈注射も即効性でよく用いられます。内耳も含めて脳循環を良くする薬剤も用います。頭蓋内に異常がなければ必要以上の心配は無用です。耳鼻咽喉科では、耳のさまざまな検査(聴力検査、平衡機能検査、眼振検査、重心動揺検査など)を行うことがあります。