乳がんについて

2013年11月15日号
土浦市医師会 淀縄聡(淀縄医院)

 現在日本人女性の15人に1人が乳がんになるといわれています(年間5万人)がその数は年々増加しています。乳がんの発生にはエストロゲンが重要で、体内のエストロゲンレベルが高いこと(初経年齢が早い・閉経年齢が遅い・出産歴がないなど)がリスク要因となります。また、環境要因(飲酒・肥満)も重要で、女優アンジェリーナ・ジョリーさんで有名になった遺伝性乳がんは10%程度です。
 乳がんの主な症状は、硬く触れるしこりや乳頭からの血性分泌ですが、初期の乳がんの多くは小さなしこりか無症状です。診断には乳房X線(マンモグラフィー)や超音波(エコー)を行い、がんを疑う場合は針を刺して細胞・組織を採取し病理診断を行います。乳がんの治療は手術・放射線・ホルモン療法(エストロゲンを抑える)・化学療法(抗がん剤)・分子標的療法を組み合わせて行います。例えばホルモン感受性のある早期がんの場合、乳房温存手術と術後放射線治療1か月半、ホルモン療法5年間をやります。
 最近では新しい薬剤の開発により進行や再発の場合でも治療成績の改善が期待されています。乳がんの死亡数は年間1万人以上で増え続けていましたが、2012年に初めて前年を下回りました。早期がんは90%以上完治し、進行がんでも他のがんと比較して成績は比較的良好です。また乳房を全摘した後に再建を行う患者さんが増えQOL向上にも寄与しています。ただし10年以上たっても再発することもあり長期間の経過観察が必要です。
 最後に・・・乳がんを早期発見するために
①若いうちから(20歳以上)自己触診をしましょう。しこりがみつかったら怖がらずに医療機関にかかって下さい(しこりの90%は良性です)。

②無症状でも30歳を過ぎたら検診(市町村または医療機関)を受けましょう。乳がん検診で見つかる乳がんの80%以上は早期がんですが、日本人の乳がん検診受診率は30%未満と先進国と比べてまだかなり低いです。50%以上を目指しましょう!