老化を遅らせる食事について

2014年1月15日号
土浦市医師会 松下和子(日製土浦診療健診センタ)

 鉄でできている機械はいつかは錆びますが手入れをすれば錆びるスピードは遅いでしょう。人間の体も年を経るにつれ錆びていきますがこの体が錆びていくのを酸化といいます。この酸化が老化です。でも手入れをしていれば酸化のスピードは格段と遅くなります。そして酸化すなわち老化を抑えるのに大切なのが日々の正しい生活習慣と正しい食事です。 
 今日はその老化を遅らせる食事についてお話ししましょう。
 早く老化する原因のひとつとして、AGE(糖化物質)があります。AGEとは、糖分とタンパク質がベタベタとくっつき絡み付いてでき、「酸化の引き金」を引くことで老化が早まります。
 AGEは料理の仕方によってもできる量が違います。高い温度で炒めたり煮込み過ぎたり、「二度揚げ」したりするとたくさんできます。そういう食事が多い人は老化が速くなります。タンパク質の調理(煮る・蒸す・茹でる)は100℃以下が安全です。果糖は糖化速度が速いのでAGEがたくさん出来てしまいます。果糖入りジュースをよく飲むことは老化を非常に早めるということになります。AGEは糖尿病の合併症の原因のひとつとしてもよく知られています。
 古い油もからだを酸化させる原因となりますので危険です。さらに、マーガリンやショートニングに入っているトランス脂肪酸はアトピー性皮膚炎や炎症の悪化、老化、発がん性などを高めると言われています。多くの国で規制されているこれらですが、日本ではパンや菓子にふつうに使われています。食べ過ぎないようにしましょう。イタリアのようにパンにはオリーヴオイルなどが安全です。
 また別な意味で危険だと言われているのは、石油から作られている合成着色料や合成保存料などの合成化合物と残留農薬や残留放射性物質などです。合成化合物などは種類が増えてきていますが過去にはなかったことですのでこの結果がどうなるのかはまだわかりません。食品を買うときには、これらが少ないものを選びましよう。
 「孫は優しい」という言葉をご存じでしょうか。「マ」は豆、「ゴ」はごま、「ワ」はわかめなどの海藻、「ヤ」は野菜、「サ」は魚、「シ」はシイタケなどのキノコ、「イ」はイモ類です。色の濃い野菜などに含まれるファイトケミカルは抗酸化作用が強力ですがこれらとともに、抗酸化の代表としてたいへん大切なこれらをバランスよく食べるようにしましょう。