AED(自動体外式除細動)について

2007年1月16日号
土浦市医師会 藤原秀臣(土浦協同病院)

 平成16年7月1日に厚生労働省医政局長から各都道府県知事あてに「非医療従事者による自動体外式除細動器(AED)の使用について」という通達文が出されました。これは一般の人、医療の専門でない人でもAEDを使って突然の心配停止(CPA;突然死)の人の命を救うという最新の手法が許可され、日本でも市民によるAEDの使用が公式に認められた画期的なことです。

 突然の心配停止は働き盛りの中壮年層の人たちであっても突発的に遭遇するものあり、社会的損失が極めて大きいものですが、医療にとっても重要な課題であります。CPAの原因としては、いわゆる心臓発作(急性心筋梗塞)が最も多いとされていますが、その場に居合わせた人たちが直ちに心肺蘇生(心臓マッサージや人工呼吸など)を行わなければ命を救うことができません。それをバイスタンダー(近くにいる人)CPAと言って、米国などでは以前から一般市民の間に普及しています。
 その際、止まった心臓を最も有効に迅速に回復させることができる(蘇生;心拍を再開させる)のは電気的な直流通電(除細動)ですが、それを誰でも簡単に機械の指示に従って有効に行うことができるように考案されたのが自動体外除細動器であります。AEDは簡単な講習を受けるだけで誰でも実施可能で、操作する人にも受ける人にも全く危険はありません。最近では公共施設、集会場、学校、駅、空港などにも設置されており実際に活用されています。

 まだまだ日本では普及と啓蒙が遅れているという声もありますが、CPAによって命を失う人を少しでも減らすためには、市民が心配停止を理解し、その場面に出会った時に救命するためのAEDに対する認識を高め、日頃その方法を体得しておく必要があります。
 土浦市消防本部に要請すれば、担当の救急救命士がいつでもその指導に出向いてくれることになってます。