ノロウイルス感染症

2006年11月15日号
土浦市医師会 石原啓志(石原小児科)

 ●ノロウイルスって何?
 ノロウイルスは以前、小型球状ウイルスと呼ばれていたウイルスで数年前からこの名前に変わったものです。最近、このウイルスが有名になりましたが、もともとは生牡蠣による食中毒の原因として知られていました。アサリやシジミにもいます。

●どのようにして感染するのですか?
 ほとんどが経口感染といわれています。生牡蠣を食べて食中毒を起こす場合や食品取扱者や患者などこのウイルスに感染した人から直接または間接的にうつっていくこともあります。

●どのような症状が現れるのですか?
 このウイルスに感染すると1~2日の潜伏期の後に吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などの症状が現れ、発熱する場合もあります。通常症状はあまり強くなく数日で治っていく場合が多いのであまり恐れる必要はありません。 日本では11月頃から増え始め1~2月に多く見られます。

●治療法はありますか?
 現在、このウイルスに効果のある薬剤はありません。症状をやわらげる治療(対症療法)が行われます。尿の量や回数が極端に減少する、唇がカサカサに乾燥する、お腹がしわしわになる、などの症状があれば脱水症状が考えられ、点滴治療が必要になることがありますので医療機関で受診してください。
 また、いわゆる下痢止めは病気の回復を遅らせることがあるので飲まないほうが良いでしょう。

●感染予防のために
 食品の調理では85度以上の温度で1分以上加熱すればよいとされています。まな板や包丁なども同様です。ノロウイルスは感染した方の便や吐物の中に排泄されます。そのウイルスに触れる、また吸い込むなどによって感染することがあります。したがって、感染した方の便や吐物は早く始末しましょう。オムツやふき取りに使用したペーパータオルなどはビニール袋に入れ密封して廃棄してください。また、このウイルスは下痢などの症状が無くなっても1週間から数週間の間、便中に排泄されますので注意が必要です。