インフルエンザについて

2016年10月18日号
土浦市医師会 青木弘道(あおき内科クリニック)

 インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって起こる病気です。普通の風邪よりも短期的に多くの人へ感染が拡がり、また重症化しやすい特徴があります。
 インフルエンザの予防に有効なのがワクチンの予防接種です。今年のインフルエンザワクチンの供給予定量は5900万回分、1人1回接種とすると、5900万人分です。昨年のワクチン使用量は、5298万人分でした。日本国民の2人に1人しか予防接種を受けていないことになります。
 しかし、予防接種を受けたが、インフルエンザにかかってしまったという人は多いと思いますが、予防接種の効果ははたしてどのくらいなのでしょうか。厚生労働省の報告では、65歳以上の健康な人については、約45%の発病を阻止し、約80%の死亡を阻止する効果があったとされます。
 これをみて、案外低い数字だと思う人が多いのではないでしょうか。これには以下のようなわけがあります。実は、インフルエンザの予防接種は、インフルエンザウイルスの感染を予防するというわけではないのです。感染とは、鼻や気管からウイルスが体に入り、増殖することをいいます。ウイルスが増えると、数日の潜伏期間を経て、発熱やのどの痛みなどの症状が起こり、この状態を発症といいます。ワクチンは、接種を受けた人の体にウイルスを排除する抗体を作り、発症や重症化を抑える働きをします。ワクチン接種の最も大きな効果は、この重症化を防ぐ効果です  ワクチン接種の効果を補うため、うがい、手洗い、マスク着用などの感染対策も重要ですし、集団防衛としてワクチンの接種率を高めることも大切です。 ワクチンの効果が期待できるのは、接種した2週間後から5か月程度までと考えられています。インフルエンザは例年12月から3月頃に流行します。ワクチン接種の効果が出現するまでに2週間程度を要することから、12月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましいでしょう。