受動喫煙について

2018年8月17日号
土浦市医師会 山口晶子(烏山診療所)

 受動喫煙とは何か正しく理解されているでしょうか?「受動」すなわち受け身の「喫煙」と書き、他人の吸っているタバコの煙を吸ってしまうことを指します。しかし目に見える”煙“ばかりではありません。喫煙者が同じ室内でタバコを吸った時に、遠く離れていても僅かにタバコ臭を感じませんか?喫煙後の服などからタバコ臭がしたり、喫煙後の車内や室内に残った空気からタバコ臭を感じませんか?このにおいを感じたとき吸い込んだ空気にはタバコの煙の成分が小さな粒子として含まれます。このにおいの空気を吸い込むことも含めて受動喫煙なのです。タバコの煙の成分にはPM2.5といわれる微小粒子が多く存在し肺の奥に入り炎症を起こすことがあります。また50種類以上の発がん物質、200種類以上の有害化学物質が含まれ、それらが吸引される受動喫煙の悪影響は大変深刻です。
 受動喫煙によっておこる病気や死亡についての研究がすすんでいます。日本では、受動喫煙が原因で発症する肺がんと心筋梗塞の年間死亡者数は6千8百人と推計されました。(2010年厚生労働省)その後、受動喫煙と脳卒中との因果関係が明らかになりました。妊娠中の喫煙や受動喫煙が胎児におよぼす影響や乳児が受ける受動喫煙によって乳児突然死症候群のリスクが2-3倍に高まることもわかりました。そして改めて受動喫煙で年間約1万5千人が死亡すると推計されました。(2016年厚生労働省)喫煙者も喫煙しない者もタバコがこのように健康を害するということを再認識しましょう。
 最後に、タバコのパッケージには受動喫煙についての警告として表示がありますので、その文言(原文)を以下に抜粋します。
 「たばこの煙は、あなたの周りの人、特に乳幼児、子供、お年寄りなどの健康に悪影響を及ぼします。喫煙の際には、周りの人の迷惑にならないように注意しましょう。」