帯状疱疹ワクチンについて
2025年10月1日号
土浦市医師会 小池雅人(まなべ皮フ科クリニック)
帯状疱疹は、水ぼうそうの原因となるウイルスが体内に潜伏し、加齢や疲労、ストレスなどで免疫力が低下したときに再び活動を始めて発症する病気です。神経に沿って症状が出るのが特徴で、初期には体の一部に痛みやかゆみが現れ、その後同じ部位に赤い発疹や水ぶくれが出ます。発症部位は全身どこにでも及ぶ可能性があります。
帯状疱疹の根本的な問題は神経の炎症による強い痛みやかゆみです。発疹が治った後も長期間痛みが続く「帯状疱疹後神経痛」を患う方が少なくありません。また炎症が強い場合、周囲の運動神経に影響が及び、部分的な麻痺が生じるなど、日常生活に大きな支障を及ぼす後遺症や合併症が起こることもあります。特に50歳を過ぎると発症リスクが高まリ、重症化しやすくなるとされます。そのため、できる限り帯状疱疹に「かからないようにする予防」が望まれます。
予防の面では、ワクチンが有効とされています。現在日本で承認されているのは2種類です。 1つは生ワクチンで、 1回の接種で済み、費用も比較的安価ですが、免疫の持続は約5年程度とされています。もう 1つは不活化ワクチンで、 2回接種が必要ですが、より高い予防効果と、 10年以上の免疫持続が期待できます。不活化ワクチンは接種部位の腫れや発熱などの副反応がやや多いものの、免疫力が低下している方でも接種が可能です。
土浦市では本年度から帯状疱疹ワクチンが定期接種となり、 65歳・70歳・75歳など節目の年齢の方の接種費用が一部助成対象となっています。ストレスの多い現代社会では、生活習慣だけで帯状疱疹を完全に予防することは困難です。ワクチンは体内のウイルスに対する免疫を高め、発症の予防や重症化の抑制に効果が期待できます。この機会に接種を検討してみてください。