月経不順・不妊について

2022年7月15日号
土浦市医師会 市川良太(霞ヶ浦医療センター)

 月経不順の方には、まず「妊娠の可能性」と「がんの可能性」を除外するための超音波検査と、可能であれば内診が行われます。10代の方は「卵巣機能の未熟性」「激しい運動の有無」「ダイエット」、20~30代の方には「多嚢胞性卵巣症候群などの排卵障害」、40~50代の方には「卵巣機能の低下」など、年齢に応じた問診・検査が重ねられます。「体重(太りすぎも痩せすぎもダメ)」「ストレス」についても聴取されます。「何かストレスは?」の質問に「職場で異動があって」「嫌いな上司が」といった話はよく出ます。

 治療には、まず「理想体重・適度な運動量の指導」があります。薬物治療は妊娠希望のある方とない方で異なります。妊娠希望のある方は、「排卵誘発剤で排卵を促すなどの不妊治療」で月経周期が整います。妊娠希望のない方は、「月経を来させたい時だけホルモン剤を飲む」「毎日ピルを飲む」などがあり、ライフスタイルに合わせて治療が選べます。ピルに抵抗がある人もいますが、血栓症のリスクが少し上がる以外に大きな副作用はないとされています。

 子宮体がんの予防のため、3か月に1回は月経があることが望ましいとされていますので、「3か月、月経が来ていない」時には受診をお勧めします。逆に「1か月に3回も月経があった(月2回はOK)」時も受診してください。受診時に聞かれますので、普段から月経・不正出血の日付をメモしておく習慣が大事です。

 近年、「産みたいときに産める体であるため、普段から健康に気を付ける」という「プレコンセプションケア」の重要性が指摘されています。「食事・喫煙・アルコール・感染症予防・ワクチン・ストレスに普段から気を配ることが、将来の妊娠につながる」という考え方です。チェックリストがあり、インターネットから入手できます。月経不順と不妊は密接に関連しているので、妊娠希望のある方もない方も、一度チェックをしてみてはいかがでしょうか。